掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)について 

                        サノ皮膚科クリニック

どういう病気か:掌蹠膿疱症とは手のひらや足の裏に、膿疱(膿をもった水ぶくれ)や水疱のできる病気です。昔からある病気で、多くの患者さんがいます。10〜数10%の患者さんで胸肋鎖骨間骨化症を合併して胸に痛みを生じます。

他人にうつるのか:膿といっても無菌性膿疱といってばい菌はいないため、他人にうつる事はありません

経過は:良くなったり悪くなったりを繰り返しながら慢性に経過510年続く事もよくあります。

原因は:原因は多くの場合不明すが、喫煙、扁桃炎などの細菌感染や、虫歯、歯科金属アレルギーが原因の場合があります。

 検査は:水虫との区別が一番問題になるので、顕微鏡で白癬菌(水虫菌)がいない事を確認します。原因不明と思われる場合は特にその他の検査はしません。扁桃炎などの細菌感染が疑われる場合は、細菌感染で増える白血球数やCRPや、溶連菌でふえるASO、ASKなどを採血で調べたり、のどの細菌培養をしたり、咽頭誘発試験(耳鼻科で行う)をしたりします。歯科金属アレルギーが疑われる場合は金属パッチテスト(パッチテストのパンフレット参照)を行います。

 治療は:@ステロイド外用剤。標準治療としてずっと使用されており、効果、安全性とも確立しているので、第一選択といえます。AビタミンD3軟膏。安全な治療薬です。即効性はありませんが、気長に続けると効果があります。B禁煙120本以上20年間以上の長期喫煙者に多い病気で、その場合は禁煙すると有効な事が多い。C虫歯がある場合は治療します。D扁桃の感染が確かめられた場合は、抗生物質の内服や扁桃摘出が有効な場合があります。ただし、扁桃摘出は結構大変です。E金属アレルギーの確かめられた場合は、原因となる歯科金属を除去しセラミックやチタン合金などにすると、治癒する場合があります。ただし、多くの費用がかかることと、歯科金属の除去を行っても無効なこともあるので、そのことを理解の上おこないます。FナローバンドUVB療法(ナローバンドUVB療法のパンフレット参照)。特殊な紫外線を当てる治療法です。当院には小型の照射器があります。G生物学的製剤。ステロイド外用やビタミンD3軟膏外用や、禁煙をしても、十分な効果がない場合や、関節症状がひどい場合に使用します。副作用が大きいため大学病院での治療になります。また高価です。

Hその他、チガソン内服、コルヒチン内服、DDS内服などがありますが、場合によっては行う治療といえます。

 ビオチン療法について:ほとんどの患者さんには無効と思われますが、一部の患者さんには有効な場合があります。掌蹠膿疱症には保険適応がなく、服用量も保険で認められる量以上(4.5/日)を用いるため、原則として自費の診療になります。また、ビオチン産生菌を増やすため、ミヤBM(3/日)を併用します、また、ビタミンCも併用されます。ビオチンは特に副作用は問題にならない薬なので、試したい方は皮膚科の専門医に相談してみても良いでしょう。なおビオチン療法を提唱している医者には皮膚科専門医でない医者が多く、掌蹠膿疱症の診断にも疑問が残ります。                              (20195月)